【知財 】手続上の瑕疵のある出願の後願となる商標登録出願の審査について

2017.6.28|
お知らせ

最近、商標の実務で大きな問題になっておりますが、一部の出願人から、出願手数料の支払いのない商標登録出願(以下「手続上の瑕疵のある出願」と呼びます)が大量に行われています。この影響により、クライアントから依頼を受けて商標調査を行うと、上記出願人による手続上の瑕疵のある出願が度々検索されることがあり、出願を躊躇う場合もあります。

特許庁では、手続上の瑕疵のある出願については、出願の日から概ね4か月から6か月で出願を却下していますが、出願をしても、手続上の瑕疵のある出願の後願となってしまった場合、原則、先の出願の結果を受けて後願の審査が始まるので、審査が大幅に遅延してしまうという問題にもなっていました。

このような事態を受け、特許庁では、従来から、手続上の瑕疵のある出願の後願となる商標登録出願について、当該後願となる商標登録出願に手続上の瑕疵がないことが確認できれば、先願となる手続上の瑕疵のある出願が却下されるのを待つことなく、実体審査を開始する、運用を行ってきています。
特許庁は、その実体審査において、運用を以下のように変更することを公表致しました(以下、特許庁HPより一部抜粋)。
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その実体審査においては、先願となる手続上の瑕疵のある出願が却下されるまでの間に、いったん拒絶理由を通知する場合がありますが、審査官が当該先願となる出願の却下を確認次第、登録査定を行います(他の拒絶理由等がない場合に限る)。

また、今後、上記の拒絶理由を通知する場合においては、拒絶理由となる先願が手続上の瑕疵のある出願に該当し、当該先願となる出願の却下を確認次第、登録査定を行う旨を、拒絶理由通知に明示的に記載するよう、運用を変更します。

したがいまして、商標登録出願を行おうとする際に、先に手続上の瑕疵のある出願が他人からなされていたとしても、ご自身の商標登録出願について、先願となる商標登録出願が却下されるのを待つ必要はありません。

なお、手続上の瑕疵のある出願について、仮に手続上の瑕疵がないことが確認された(出願手数料の支払いがあった)場合、特許庁は、商標法に基づき適切に審査することとなります。

その際、当該出願に係る商標が、出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合(商標法第3条第1項柱書)、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマークの出願である等の場合(同法第4条第1項各号)は、商標登録を認めません。

※特許庁HP
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/kashi_kougan.htm