【知財】平成28年7月に発効する特許協力条約に基づく規則(PCT規則)の改正の概要

2016.6.24|
お知らせ

平成28年(2016年)7月1日に発効するPCT規則改正の主な改正内容は、以下の通りです。

1. 特定の情報の公衆アクセスからの除外
国際公開又は公衆の利用の対象となる一件書類中の情報に、開示の目的に合致するかどうかが明らかでなく、開示により個人的又は経済的利益が明らかに損なわれ、かつ、これを開示する優先的な公共の利益がない情報(例えば特定の個人情報)が含まれている場合、出願人は国際事務局に対し、当該情報を開示の対象から除外するよう請求することが可能となります。これにより国際出願又は関連書類に誤って含まれた特定の不適切な情報の除外が可能になりました。
なお、本改正は、平成28年7月1日以降を国際出願日とする国際出願に適用します。
2. 優先権回復の請求に係る書面の写しの国際事務局への転送
従来、出願人から優先権回復の過程で提出された理由書や証拠書類等は、受理官庁から国際事務局に任意で送付するものとされていましたが、改正により、受理官庁は国際事務局への送付を義務付けられるとともに、出願人の請求又は受理官庁の判断により、上記1. の改正内容の適用と同条件で、特定の書類を送付の対象から除外することができるようになります。
なお、本改正は、平成28年7月1日以降を国際出願日とする国際出願に適用します。
3. 電子通信サービスの障害による期間不遵守に対する救済措置
出願人による各機関あての提出物の送付期限を遵守できなかった場合の救済措置の対象となる理由(不可抗力)として、国際出願の約90%が電子通信により行われている現状を考慮し、広範囲の地域又は多くの人々に影響を与える電子通信サービスの全般的な障害が追加されます。
なお、本改正は、原則として平成28年7月1日以降を国際出願日とする国際出願に適用されますが、救済措置の対象となる事実が平成28年7月1日以降に発生した場合、平成28年7月1日より前の国際出願日の国際出願にも適用します。
4. 国際事務局との通信のための言語
従来、出願人が国際事務局へ書簡を送付する際に利用できる言語は、英語又はフランス語でしたが、ユーザの利便性向上のため、それらに加え、実施細則の定める範囲内で、第48規則で規定する国際公開の言語も利用できるようになります。
本改正は、ePCT※経由の通信について、国際事務局による書簡の受領日が平成28年7月1日以降の場合に適用されます。他の手段による通信に関して追加的に認められる言語は今後事務局長が定めることとされています。

※詳しくは特許庁HPをご覧ください。
http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_tokkyo/kokusai/pct287.htm